簡単、簡単。

僕の学生時代の数学の恩師に、非常にトリッキーな問いをぶつけてくる師がおりました。

当然、我々学生は時間一杯、頭を悩ませ続けるのですが、その教授の口癖が、


「簡単、簡単。簡単、簡単。」


正直、この老講師の難問には並みいる猛者どもも、閉口しきりでしたが、不思議とこの飄気た口癖を聞いてるだけで、なんだか不思議と気持ちが落ち着いて、じっくりと取り組めたのを覚えております。


その師とは、卒業この方、お逢いする事もなくなりましたが、今でも難題にぶつかると心中にてお題目の用に唱えております。


今も、自分には目標として心酔しておる師が、何人かおりますがどの方にも遥か遠く及びません。


だから、心の中で今日も唱えます。


「簡単、簡単。」


人は心が愉快であれば


終日歩んでも嫌になることはないが、


心に憂いがあれば


わずか一里でも嫌になる。


人生の行路もこれと同様で、


人は常に明るく愉快な心をもって


人生の行路を歩まねばならぬ。


シェイクスピアの言葉です。


一献。


押忍。